「この本を読みなさい。」
入社前、上司に「ITディレクターとして何を読むべきか」と聞いたとき、返ってきたのはその一言だけでした。壮大な専門書を想像していた私は、少し拍子抜けしました。
でも、デビッド・アレン著『Getting Things Done(GTD)』——この本が、6ヶ月後の今、私の仕事の土台になっています。
最初の2週間:頭がストライキを起こした
ITディレクターという役割は、想像以上に「情報の交差点」でした。
午前中はレビュー・レポート作成・タスク整理(コーディネーターとして)。午後はテスト・バグ発見・Planeへの記録(テスターとして)。夕方にはSEOコンテンツ編集・Google Search Consoleの確認(コンテンツ担当として)。そこに「ちょっとこれ翻訳できる?」が突然割り込む。
一番まずかったのは、全部を「頭に抱えていた」ことでした。
メモも取らず、「夕方に処理しよう」「明日覚えておこう」と繰り返す。1日の終わりに未完了リストを見てパニックになり、そのストレスを家まで持ち帰る。最初の2週間はずっとそんな感じでした。
GTDの冒頭で、デビッド・アレンにこう言われたとき、正直、刺さりました。
「あなたの頭は、アイデアを生み出すためのものであり、溜め込んでおくためのものではない。」
GTDの5ステップ——私の実際の使い方
1. 把握する(Capture):まず頭の外に出す
何かが来たら即座にGoogleスプレッドシートに書き込みます。開発者からのチャット質問、仕様書の曖昧な部分、「あ、確認しなきゃ」という小さな引っかかり——全部、頭の外に出す。
「覚えておかないと」にエネルギーを使わなくなった分、目の前のバグ処理や翻訳に集中できるようになりました。
2. 見極める&整理する(Clarify & Organize):「行動できるか」だけを問う
毎日決まった時間にリストを開き、「これ、行動できる?」だけを問いかけます。
行動不要なものは3つで処理します。不要なら削除。後で使える情報(仕様書など)はConfluenceに保存。今は動かせない提案はバックログへ。
行動が必要なものには「2分ルール」を適用します。2分以内で終わるなら今すぐやる。そうでなければ、委任するか、具体的な時間にスケジュールを入れる。
3. 「次の行動」を決める:大きすぎるタスクを分解する
以前のToDoリストには、こう書いていました。「フェーズ1の品質管理を完了する。」
これはタスクではなく、プロジェクトだとGTDに教わりました。大きすぎるものは、人を躊躇させます。
今はこう書きます。「午後2時、上司と15分。QA進捗を3項目確認する。」「記事インデックスに必要なアクションを30分でリスト化する。」小さく、具体的に書き直すだけで、先延ばしが激減しました。
4. エネルギーで選ぶ:脳の残量に合わせてタスクを選択する
午後3時、会議後に頭が疲れているとき——システムロジックの分析は選びません。
代わりに、「次の行動」リストから脳の残量が少なくて済むタスクを選ぶ。修正済みUIバグの再テスト、翻訳文書のフォーマット確認。脳の残量に合わせて動くことで、夕方まで価値を出し続けられます。
5. 週次レビュー:金曜夕方の30分が翌週を決める
毎週金曜日の夕方、30分間——これだけは絶対に破らない「儀式」になりました。
スプレッドシートを整理し、完了タスクを確認し、翌週の「次の行動」を設定する。このルーティンを省くと、1週間でシステム全体が崩れ始めます。明確な頭でノートパソコンを閉じる金曜日の感覚は、6ヶ月前の自分には想像できなかったものです。GTDに慣れてきた頃から、AIツールとの組み合わせも試し始めました。
6ヶ月後の正直な評価
完璧にはなっていません。
突然の割り込みに焦ることもある。想定より長くかかるタスクもある。週次レビューを短くしすぎて翌週に引きずることも、たまにある。
でも、タスクの渦でパニックになることは、なくなりました。反応が速くなり、会議中も落ち着きを保てるようになり、仕事のストレスを家まで持ち帰ることも減りました。
GTDは「マネージャーや仕事量が多い人のための本」だと思っていました。でも実際は違います。バグに溺れている開発者、仕様書と格闘しているコミュニケーター、日常のToDoリストに混乱している人——「考えなきゃいけないこと」が多すぎる人全員に使える手法だと思います。
リノエッジには書籍購入制度があります。もし日々の混乱の中で「頭の中がうるさい」と感じているなら、迷わず申請してみてください。1冊分の価値は、確実にあります。
業務効率化や自動化にAIをどう取り入れるか、合わせて検討したい方は、AI導入支援コンサルティングもご覧ください。
組織のナレッジ管理を整える視点ではOfficeBrain(社内ナレッジ管理)、ベトナム進出を組織として進める視点ではベトナム市場R&Dもご覧ください。
ソフトウェアに恋したソフトガール。ITコーディネーター見習いとして、自身の試行錯誤から学んだ教訓をシンプルなヒントに変え、仕事をもっとアクセスしやすく・楽しくすることを目指しています。
